久々にお気に入りの同人誌読んだら生き返った話


 一冊の同人誌(小説)なんですが、なんかもうやたらに好きで、もはやただの同人誌ではなくお守りみたいにしている本があります


私も趣味で文章を書きます。そんで、行き詰った時には必ずその本を読む。文章の具合がなんとも言えず好きで、その文章に触れていると、次第に「私、文字が好きでよかった~!」という気持ちが返ってくる。

好きなものに触れた時、だいたいは声を出して手足をじたばたさせる性分なんだけど、この本に関しては、せっかくだからちょっといいお茶でも淹れようかな…という気持ちの方が強い。私にとって、それだけドストライクなんだろうな。なんの過不足もないから、何回も読める、しんどくない。(盛り上がりに欠けるという意味ではなく)


自分で文章を書く作業は、旅行先で撮ってきた写真をSNSにアップするため、せっせと加工する作業に似てる。それはそれで楽しいんだけど、だんだん視野が狭くなる。

果たしてこれは見やすいのか?」とか「そもそも構図が悪くない?」とか、気になるところばかり増えてきて、結局、完成したから終わり!よりも、疲れたしわかんなくなってきたからこれでいいや!ってところに着地することも多い。

とはいえ、世の中の文章を書く人は大体がこういう状況と戦っているだろうし、単に実力不足と言われれば、まったくもってその通りなので、ぐうの音も出ない。そういう時に手に取りたくなるのが、件の一冊。

「あ~そういえばこの写真に写っているものはあれだな、実際に見るのが一番いいんだったな。よし、旅行いこ!」みたいな気分になれる。

この一冊が手元にあることは強い、とても強い。とりあえずこの一冊があれば、私は文章を書くことを嫌いにならずにいられる。


かれこれ数年、何度も読み返した。たまには旅行先に持って行ったりもしてみた。入手当時学生だった私が疲れ切った社会人になったりもした。

初読の時はたしか、安さをとったら日当たりがいまいちだったワンルームで、読み切っちゃうのもったいないなと思いながらも一気に読んだ。今はその時の気分で、一話ずつとか、ふいに読みたくなった場面だけとかを読んでます。社会人になってからは煙草吸いながら読むので、紙の色が変わってきた気がするんだけど、まあそれも味かな…と思うことにしています…すみません…。

そんな風に、特に行き詰ってない時に読むにしても、やっぱり好きな本だなと思う。特に社会人になってからの疲れによく効く。読んだあとはちょっとだけ時間を取って、フローリングに突っ伏してみたり、窓を開けて外を見たりする。時間を丁寧に使おうという気持ちになるので、そのためにはどうしたらいいかなと思った時、私はとりあえず全部手離して、無の時間をつくりたいと思って、そういう行動につながるんですね。たぶんここは人それぞれ。


思えば昔は、何もなくてもそういう時間を取っていた気がします。新しいものに触れたり心躍るものに出会ったり、そういうことがあれば大きく息を吸ってしばらく目を閉じたものだし、田舎に住んでたのでベランダから水田にあらわれる風紋とかを見てたんだけど、今はそういうこと全然しないんだよね。煙草でも吸わなきゃ大きく息を吸ったり吐いたりすることないし、スマホ見てなきゃ窓際に5分も座ってられない。

一日があっという間に終わるようになって、そんな悠長なことしてられなくなったような気がする。いいものに出会ったらとりあえずツイッターで「すこ」って呟いといて、稲の育ち具合とかはグーグルに聞いてくれよな!って感じ。今も昔も24時間が同じスピードで流れてるなんて絶対うそ。学生とOLの生きる時間軸、遠すぎて笑った。

まあ普段はそれでもいいんだけど、あんまり急いでるとやっぱりどっかで躓くから、そういう時は読む訳です、本を。そこには生活が丁寧に綴られてあって、あっそうそう、こういう時間がね、大事だよねって急に思い出す。たとえば洗濯槽の漂白だとか、シンク磨きだとか、常備菜の作り置きだとか、そういうの私は半ギレで作業してたけど、その本の中に書かれてあるのを読んだら、そんなにキリキリやることもなかったな…もうちょっと穏やかに生きよ…とふいに自分とか時間とか、なんか諸々大事にしよって気持ちが返ってくるので、文章を書く以外のモチベーションも上げてもらえる訳です。ほんといい出会いした。


今日はまた久々にその本読んで、最近だいぶよれよれになってた気持ちがちょっとすっきりさっぱりしたので、せっかくなら記録に残しておこうと思った次第です。

やっぱり自分で文章を書くのも楽しいしストレス発散になるし。

こういう感想って著者本人にお伝えした方がいいのかなって思わなくもないんですが、ほぼ本編の内容には関係ない上に、さすがに重くないですか?とも思うので、個人の書付にしました。なので、こんなところで申し上げたところでほぼ意味はないのですが、この本を世の中に出してくださってありがとうございます!おかげさまで今日も楽しく生きてます!


私の親しい人たちが、別に本には限らなくていいので、こういう自分の中のピリオドみたいな何かに出会えるといいなと思いつつ、おわり。